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SS:あんたはいつだってあたしを掌の上で転がすのよね

あんたはいつだってあたしを掌の上で転がすのよね CP:アリすず

旧題:すずかさんはとんでもないマゾっ子でした。の巻

すずかさんはアリサさんに逆襲されたら喜んで跪くでしょう。(妄想)、という
拍手返信にさらにレスをつけてくださった方がいらっしゃったためにできたものです。

跪かせるっていうのは、大抵は支配する側が行うことだ。
もちろんそれをやらされるのは、支配される側だ。
支配する側、される側なんて、聞く人が聞けば眉をひそめるような
イカれたことだ。
そのうえ足に口付けるっていうのは、端から見ればいよいよ
頭がイカれた行為に見えるのは至極当然のことだと思う。
そしてそれを普通に行うあたしは、心底イカれていると考えるのも
至極当然のことだと思う。



*



「アリサちゃん、床寒いよね?
 女の子が体冷やしちゃだめだよ。」
「……あんたがさせてるんでしょうが。」

白々しい物言いに憮然として返すと、小さく肩を揺らすのが見えた。
それを努めて気にしないように靴下をゆっくり脱がせる。
脱がし終わるとふくらはぎに食い込んだ靴下の痕が現れた。
青い血管が透けて見えるほど白い足の、やわらかいふくらはぎを
薄紅色がぐるっと一周している。
その痕を見ると、えもいえぬ興奮に襲われる。
また肉付きがよくなったようだ、なんて獣じみた思考が
加速するからだ。

「アリサちゃん、だめ。」

台詞だけなら拒絶しているけど、その声音は『触るな』という意味ではない。
明らかに『後で』、とでもいいたげな甘ったるい声。

見透かされている。

それに気付くと今度は猛烈な羞恥に顔から火が出そうになった。
妄想の中でさえも舌なめずりできそうなほどの興奮はなりを潜め、
抑えようのない恥ずかしさからもう一度足の甲に噛み付いてしまう。

「アリサちゃん、だめ。」

今度は甘ったるいじゃなくて、強請るような声。
二度も言わなくていい、という不満を露わにさらに強く噛み付いた。



*



寒さで手の筋肉が固まったような感触に何度も手を閉じたり
開いたりしてみる。
そろそろ寒さの限界だった。あれから何度が噛み付いたが、特に強く痕も残らず
白い足は健在だったが、確かに血は通っているはずなのにその指先は薄い紫色になっていた。
寒い思いをしているのは、なにも自分だけではない。
そっと靴下を履き直させると、もう時間だと告げる。

「もういいでしょ。」

見詰め合ったのは多分一秒程度。

「はい、アリサちゃん。」

一も二もなく、素直に席を譲るその姿は忠実な犬を連想させる。
でも、あたしがソファに座った途端、膝に頭を寄せて甘える仕草は猫を連想させる。
手の甲で髪の表面を撫でるように流してみると本物の猫のように
うっとりと目を閉じた。
一見すると深窓の令嬢にしか見えない少女が冷たい床に跪いて、同世代の少女に
甘えるなんて、中々滑稽ではないだろうか。
でも、この状況はちょっと止められない。
この光景が、あたしの欲を遺憾なく満たしてくれるから。
しばらく悦に浸っていると、猫のように甘えていた彼女がにっこり笑った。

「アリサちゃん、もういいよ。」
「え?」

本当ならその台詞は、あたしが言うはずだった。
だって跪かせてるのは誰。
支配してるのは誰。
でも彼女はもう一度同じ台詞を言った。

「もういいよ。」

まるで鬼ごっこのときのように。
もういいよ、って楽しそうに。
無邪気な表情を浮かべながら、あたしを跨ぐように乗ると
顔を寄せてきた。
気が付くと手が勝手に彼女の後頭部を捕らえていた。
そしてあたしはありもしない牙を立てるように、まさしく噛み付くように
荒々しく彼女の唇を奪った。



*



分かってるわよ。
あんたはいつだってあたしを掌の上で転がすのよね。
ナイト気取りできるのも、ご主人様気取りできるのも、
全部が全部、あたしだけの力じゃないのよね。
でも結局どう扱われようと乗ってしまう自分の浅はかさに呆れても
止めることができないんだから。

あたしは跪くこともあったけど、跪かせることのほうが
圧倒的に多かった。
だって、跪かせるのは大抵支配する側のおこなうことだから。
跪かせるのは、はっきり言えば快感だった。
独占欲や支配欲、およそ欲というものは大体満たせた。
あの忌まわしい恐怖を感じる余地がないくらい、気持ちよかった。
でも、たったそれだけのために。
たったそれだけのために跪いて、跪かせて。
支配されて、支配して。
ナイト気取りやご主人様気取りをして悦に浸ってるなんて、イカれてると考えるのは
至極当然のことだと思う。
そしてそれを普通に行うあたしは、心底すずかにイカれていると考えるのも
至極当然のことだと思う。



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