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SS:魔獣

魔獣 CP:なし

※一応死ネタにつき以下ネタバレ(反転)

はやてと初代リインの話です。
初代リインが死にます。

世に魔獣あり。
人の姿をしながら人ならざるもの。
世は『魔獣』と呼ぶ。



*



とある山間部にある小さな町は夜空が美しいことこの上なく、
それにならって町の名を『夜天』とした。
その夜天の近くの山に一匹の魔獣が住み着いた。銀色の髪に、赤い目。
夜天は小さいながらも歴史を重ね、やがて住み着いた魔獣も
夜天の魔獣と呼ばれるようになった。



*



夜天の魔獣が住み着き数百年が経った頃、ある一匹の魔獣が現れた。
小柄な体格と、珍しいしゃべり方。やがてその魔獣は夜天の魔獣と
暮らし始めた。



*



二匹の魔獣が暮らし始めて数十年経った頃、同居していた魔獣が
他所に用事があり夜天を離れた。その魔獣が帰って来ると町は
夜天の魔獣に攻撃され建物が破壊されており、夜天の魔獣は死んでいた。
町に災いをもたらした夜天の魔獣は、闇の魔獣と呼ばれるようになった。



*



魔獣は悲しんだ。夜天の魔獣が死んだこと、名前を変えられたこと、
町に多くの犠牲が出た、と聞いたこと。
悲しみに暮れる中、町は異常な速さで復興を始めた。
それに不審を抱いた魔獣はあることに気が付く。
夜天の魔獣が肌身離さず大事にしていた書物が無くなっていた。
住処のどこを探しても見つからず、ついに
魔獣は密かに町へ降り立った。



*



町は以前よりも立派で美しくなっていた。悲劇の傷跡も見られず
人々の顔にも笑顔しかない。ひとりぼっちで歩く魔獣は
楽しそうにしゃべる人の会話を聞いてしまう。

「あの魔獣の力は本物だったね。こんなに役に立つ本だったなんて。
 もっと早くにこうしておけばよかったんだ。」
「そうだね。幻術魔法で町には建物しか被害がなかったんだから
 安いものだ。」

町の人が話す内容はみんな同じだった。
あの魔獣の、あの本の、あの力が、町を。
幸せそうに微笑む夫婦が、元気よく町を駆ける子どもたちが、
公園の椅子に静かに座る老人が、みんながみんな、同じ話をしていた。
それらを聞いて魔獣は理解した。
夜天の魔獣はただ死んだのではない。殺されたのだ。



*



書物は、町で高名な魔導師の家にあった。
魔導師の仕掛ける罠をかいくぐり、魔導師を倒すと
魔獣は書物を手に取りやがて何処かへ姿を消した。
それから一冊の本を大事そうに抱える魔獣の姿が各地で見受けられるようになった。
人はその魔獣を、書の魔獣と呼ぶようになった。



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