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SS:房室

パラレルなフェイなの。
かなり短めです。

※4月20日14時21分、加筆修正。
   イメージとしては15歳くらい。

あるところの若い夫婦。
何事につけよく学び、よく気を付ける者たち。
見た目は麗しく、心根は清らかで、才気溢れる者たち。

*

夫婦が住むのは夫の持ち物である邸宅。
恐れ多くも時の帝からの賜り物。
日が高いうち夫は内裏に参内し、夕餉の前に帰り
妻はなにくれと屋敷の中を取り仕切り、夫を出迎える日々。
夜は夫が妻の元へ赴き他愛もない話をし、妻が夫の無聊を慰め
後朝でもないのに必ず衣を妻に被せ名残惜しそうに去る夫を
姿が見えなくなるまでいつまでも見ている妻。
二人が情を交わすのは七日に一度。
そういう約束。
日が沈むと下がる侍女たち。夜が来る前に取り残される夫婦。
人気が消えると妻の手を引く夫。
人に声が聞こえぬように、人に姿が見えぬように。
渡り廊下のその先へ。
二人だけの房室へ。
誰にも知られぬ、誰もが知る。
忍ぶように交し合う、二人だけの逢瀬。

*

一歩、一歩。進めば当然近付く。
情を交わしたとはいえ結婚してまだ日の浅い二人。
互いの距離を測りかねる日々。
しかし情を交わさずにはいられない日々。
七日に一度をどれほど心待ちにしていることか。
扉を開けると整えられた白い床。小さな灯りが脇に一つ。
蝋燭の揺れに際立つ白さ。
夫がわずかに息を飲み妻を振り返れば赤い顔。
いつものこと。
夫が口を開こうとするも声は出ず。
華奢な肩に手を添えて促すのが精一杯。
腰を下ろしても向き合えず、ただ肩を寄せ合うだけ。
触れれば落ちんといった風情。
何かの拍子に手が触れる。
後はもう止まらない。

*

初めは顔も名前も知らぬ相手。
断ることもできた縁談。
けれどどうしてか断ることができなくて、襦袢を纏った床の席。
灯りに照らされた顔を見て、一目で惹かれたのはどちらが先か。
夫の襦袢がゆるゆると落ちればわずかに汗ばんだ背。
張り付き濡れる金の髪。
回された手が爪を立てつつそれごとかき抱く。
夫の下から嬌声が上がり。
しばらく経つとすすり泣くような声。
声をかけても恥じ入って顔も上げぬ。
夫は途方に暮れ、頬を寄せるしか術がない。

*

朝が来れば戻る人々。
床を出るのは夫が先。
眠る妻を振り返り振り返り。
いつまで経っても参内しない。
それを叩き出すのは侍女の役目。
やがて妻が起きれば日は高く。
見送りができずと後悔しきり。
だから夫の帰りを待ちわびて、いの一番に出迎える。
けれど顔を会わせても結局話せず二人で頬を染め。
見守る者たちのため息よ。
そうして日々は廻ってく。
ある夫婦の話。

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コメント

時代劇風な フェイなのむぅちゃいいですね!!興奮して悶えまくりました♪更新されるのを楽しみに待ってます!!(^-^)

投稿: ナポリタン | 2011年2月23日 (水) 19時16分

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